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◆25番(野沢一敏議員)
25番、市民フォーラム志向の野沢一敏でございます。今回の一般質問では、「生活排水処理事業について」並びに「杉並木の保護と安心安全の生活環境確保について」の2つの表題にわたり質問いたします。
それでは、第1の表題、「生活排水処理事業について」であります。日光市における生活排水処理事業は、平成22年度に策定した、変更したと申しますが、生活排水処理構想に沿って事業が実施されています。生活排水処理事業という言葉はなかなか耳なれないというふうに思いますが、これは下水道事業、それと浄化槽に絡む事業を含めた形の総称という形で、平成10年ころから使われてきた言葉でございます。そこで、本市における生活排水処理事業の現状と課題に関することとして、生活排水処理人口普及率、水洗化率、公共下水道への接続状況について伺います。
次に、合併浄化槽への転換状況について伺います。そして、これらについての課題をどのように捉えているのかについてお尋ねいたします。
2番目の項目として、課題への今後の取り組みに関することとして、まず本市の生活排水処理構想の内容について伺います。
次に、下水道への未接続世帯への対応について伺います。そして、合併浄化槽設置への支援策について伺います。
以上、2項目にわたり、計6点についてご答弁を願います。
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◎福田一美上下水道部長
25番、野沢一敏議員のご質問の第1であります「生活排水処理事業について」の第1点、日光市における生活排水事業の現状と課題についてお答えいたします。
まず1点目、現状と課題についてでありますが、生活排水事業については日光市生活排水処理構想に基づき整備手法を定め、下水道事業と合併処理浄化槽整備事業を実施しております。この生活排水処理構想に基づく生活排水処理人口普及率は、平成24年度末において日光市全体で76.4%であります。栃木県平均は81.6%、全国平均は88.1%であり、栃木県及び全国平均と比較してもまだまだ低い状況であることから、汚水処理施設の未普及地区を解消することが喫緊の課題と捉えております。
次に、2点目、下水道への接続状況についてでありますが、平成24年度末における各地域での水洗化率は、今市地域は97.5%、日光地域は83.9%、藤原地域は72.2%、栗山地域は87.5%であり、日光市全体における水洗化率は91.7%であります。
次に、3点目、合併処理浄化槽への転換状況についてでありますが、平成24年度における合併処理浄化槽の設置基数は137基となっております。設置の内訳は、新設が44基、合併処理浄化槽の入れかえが4基、単独処理浄化槽からの転換が63基、くみ取りからの転換が26基となっております。近年の合併処理浄化槽の設置状況を見ますと、平成18年度までは年間200基前後の設置基数であり、平成19年度には年間179基、平成20年度以降は年間130基から150基の間を推移している状況となっております。
次に、ご質問の第2点、課題への今後の取り組みについてお答えいたします。まず1点目、生活排水処理構想についてでありますが、将来の人口増減及び社会情勢の変化を考慮し、おおむね7年ごとに見直すこととしております。当市においては、平成29年度に構想の見直しを予定しているところでありますが、その間自治会要望など地域住民の意向を考慮し、汚水処理施設の整備における優先順位を定め、効率かつ適正な整備手法により未普及地区の解消に努めております。
次に、2点目、下水道への未接続世帯への対応についてでありますが、現在下水道への未接続世帯へ職員が直接訪問し、公共用水域保全の重要性の説明を初めとして、下水道接続の必要性の説明を行う戸別訪問を実施しております。また、平成24年度から開始した単独処理浄化槽の撤去費用に対する補助制度では、合併処理浄化槽への転換だけではなく、下水道への接続の際も補助対象とする日光市独自の施策を導入いたしました。さらに、「広報にっこう」に「守りたい日光のきれいな水」と題した特集記事を掲載し、下水道への接続のお願いや水洗便所改造資金の融資あっせん制度の紹介をするなど、啓発活動を行っております。今後は、戸別訪問による下水道への接続の啓発活動を継続するとともに、個別訪問を通じて地域ごとの特性や接続への障がいとなる要因を把握し、対応策を検討してまいりたいと考えております。
次に、3点目、合併処理浄化槽への支援策についてでありますが、日光市内ではいまだ7,000以上の世帯で単独処理浄化槽、またはくみ取りトイレを使用しています。合併浄化槽への転換をより一層促進していくことが重要な課題であると捉え、合併処理浄化槽設置に際して設置費の補助に加え、単独処理浄化槽の撤去費に対する補助制度により、合併処理浄化槽への転換を促進しております。また、従来は下水道の事業認可を予定していた区域については、その年度当初から補助対象外としておりましたが、平成25年度から事業認可を受けた年度末まで補助対象とすることに改めるなど、合併処理浄化槽への支援策の強化を図ってまいりました。しかしながら、近年合併処理浄化槽の設置基数が横ばいの状況でありますので、今後はさらなる現状の把握に努め、他市の状況の研究を行うなど、支援策を検討してまいります。ご理解をお願いいたします。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
P.136
◆25番(野沢一敏議員)
ご答弁をいただきました。計画的に事業推進、全国や県の平均に比べるとまだまだ市の普及率というのが届いていないという現状、それにあわせて公共下水道への接続、また合併浄化槽への転換を勧奨しているというお話です。最近の状況を見ますと、その状況がなかなか停滞している。先ほどの例えば合併浄化槽への転換状況を見ますと、平成18年までは200基、ところが最近では昨年度の事例で137基、これについてはなかなか進んでいない。また、公共下水道への接続、水洗化率を見ても、地域によっては合併時からほとんどここ7年余り接続率というものが上がっていないという状況がございます。もう一生懸命それの勧奨なり、そういうものをされているというのはわかりますが、何でそういう状況が生まれ、改善されてきていないのか、これについてのいろんな訪問をして戸別の案件調査する中でどういうふうに捉えているのかということを改めてもう一回伺います。
特に下水道への未接続ということに関して見ますと、各家庭やアパートで使用しているトイレの浄化槽の管理基準、これは現状でどんな状況になっているのか。これに関して市はどのように関与しているのか。また、管理の悪いところでは、悪臭のする排水が側溝に流入してくる箇所もあると聞いています。このような状況に対してどのような対策をしているのか改めて伺います。
2番目の項目についてでありますが、生活排水処理構想の内容について、今ご説明いただきました効率的、適切な処理方法を選択してということがございます。各市町をまとめた県の生活排水処理構想というのは閲覧できますので、それを見てみますと、日光市の平成24年度に直近見直されたその構想の内容について県内の14市と比較してみると、下水道という手法に対する依存率、これが極めて高い。宇都宮市や小山市や、そういうある意味人口密度の高いところと比べても極めて高い。これは、特に将来に向けての目標年次における事業指標ということですが、これは何でこんなに高いのか、これについて改めて伺います。
次に、下水道への未接続世帯への対応です。下水道事業、これは事業の債券を発行して25年間で償還していくということですから、安定した下水道事業を今後も継続していく中では、未接続ということに関しては非常に大問題だと思います。公共下水道の供用開始になった地区の世帯、アパートの経営者に公共下水道への接続を勧めなければ、今後非常に事業運営、安定した運営も難しくなってくる。接続していただければ、個人の管理の悪い浄化槽の問題や悪臭の問題もなくなる。この促進を進めれば、多額の費用をかけてつくった下水道、宝の持ち腐れというような状況にもなってしまうことも考えられます。費用の問題があるとすれば、下水道加入促進策として、先ほどもお話ありましたが、現状に増して市独自の助成金等を検討してはどうかと考えますが、お考えを伺います。
3点目として、合併浄化槽設置への支援策についてであります。答弁の中で、浄化槽対象地域未水洗化の世帯が7,000世帯、現状を見ますと年間130、転換ということからいうと100未満ということですから、これを実現しようと思うと70年もかかるということです。全国的に見ますと、環境省が提唱する浄化槽市町村整備推進事業を取り入れ、市町村が設置主体となって浄化槽を面的に広く整備して維持管理していくというところがふえております。また、この事業は設置費用に対して国庫補助の対象になることから、設置時の個人負担が現状では60%かかるところが10%に低減される、そのかわり維持管理費として毎月下水道料金と同じような形で市町村に納めるという、こんな手法があるようです。市内では、湯西川ダムの水特事業で栗山地域の西川地区で既に行っているという実績もあります。この事業について推進、実施してはどうかと考えますが、執行部のお考えを伺います。
P.138
◎福田一美上下水道部長
2回目のご質問にお答えいたします。
第1点目でございますけれども、合併処理浄化槽が進んでいない理由ということでございますが、この理由につきましては経済的な負担が大きいというものが挙げられるかと思います。その内容といたしましては、汚水処理施設設備の工事費の負担が大きいと、またそういう負担に伴いまして現状の水洗トイレとか単独処理浄化槽で、その状態でもいいと現状維持の考え方があるかと思います。そのようなことで、経済的負担という大きな理由の中で合併処理浄化槽が進んでいない理由になっているかと思います。
続きまして、第2点でございますが、集合処理への依存率が高い理由についてということでございます。日光市生活排水処理構想は、国で作成いたしました効率的な汚水処理施設整備のための都道府県構想策定マニュアルに基づき策定をしております。当市で策定いたしました各地域の整備手法は、観光地であるという日光市特有の地域性を考慮しまして、市街地などの人口密集地及び観光地では下水道事業を採用し、民間の散在している地区では合併処理浄化槽事業を採用して整備を進めております。このマニュアルでは、建設費と維持管理費を合わせた経済比較を基本としつつ、水質保全効果や地域特性を考慮し、効率的かつ適正な整備手法を選定するとしております。これらを勘案した結果、効率的かつ適正な整備手法として集合処理への依存率が高くなったものであります。
次に、下水道への未接続世帯への対応についてお答えいたします。先ほど申し述べましたとおり、藤原地域が他の地域と比較して低い水洗化率となっていることから、平成24年度には当地域を重点地域と位置づけ、ホテル、旅館を対象に含め、戸別訪問を実施いたしました。この中で、鬼怒川に沿った傾斜地に多くのホテル、旅館、民家が立地していることから、施設内への配管が道路に埋設されている下水道本管より低く、自然流下による排水ができないことが下水道へ接続に際しての阻害要因として浮かび上がってまいりました。今後におきましては、このような戸別訪問を継続していくとともに、阻害要因の徹底調査を行い、その対応策を検討するなど、重点地域として位置づけ、取り組み強化を図っていきたいと思っております。また、他の地域のホテル、旅館等につきましても、藤原地域と同様に戸別訪問を実施してその要因を調査してまいりたいと思っております。
次に、4点目でございます。合併浄化槽への支援策についてでございますが、その中での市町村設置型浄化槽整備推進事業でございますけれども、日光市におきましては栗山地域の西川地区に平成16年度から平成18年度にかけまして、16の世帯におきましてこの事業により整備を実施いたしました。この事業につきましては、特定した地域の面的整備ということで、その地域の方の100%といいますか、対象者の合意形成が必要となってきます。この事業につきましては、市が浄化槽を各世帯に設置しまして、毎月使用料の徴収を行い、その使用料を財源に浄化槽の保守点検、清掃、法定検査等の維持管理を実施しているものでございます。今後におきましては、費用対効果の検証、補助制度の研究等、浄化槽市町村整備推進事業が有効かどうか検討してまいりたいと思います。ご了承をお願いいたします。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
P.138
◆25番(野沢一敏議員)
下水道等の集合処理に依存率が高いのは観光地としての特徴だというお話でした。まさにこの日光市、県内有数のというか、最大の観光地であることは承知しております。しかし、下水道を多額の費用をかけて事業債を発行してやる、償還が済むのは25年から27年後、そのときに使用料金を払う市民の人の状況というのはどうなのだろうか。観光地であるという、そういう特徴日光市はあります。ただ、それに加えて人口の減少率が県内でも最も高い市で、2番目か、あることも間違いないです。そうしたときに、平成22年に見直したときにそういう考慮はなされなかったのか。人口問題研究の将来推定人口を見ますと、27年後の2040年、この年には日光市の人口が6万人を切っていくという予想が出ています。この辺の考慮というのは、やはり特に建設的投資をする場合考慮しなければいけない、将来の、下水道の料金が上がって維持管理をしていくということなのでしょうが、最終的には次の世代を引き継ぐ人たちの負担を増していく。ですから、そういう考慮のもとにやはり考えるべきだろう。先ほど合併浄化槽の転換に関しては、また下水道の未接続に関してはある意味ホテルの下から上にポンプアップを考えるということに関しても、基本的には経済的負担が大きな要因になっている。これは、先ほど言った観光地としての特徴を考えるのであれば新たな助成措置というものもやっていかなければ、観光地だから下水道を公立で普及させましたよという、それの現実対処として成り立たないのではないかと思います。
あと、市町村設置型の合併浄化槽ですが、これに関しては1個1個対象でもできる事業です。これは、下水道に比べて人口密度の低いこの地域には非常に適したものだというふうに考えます。これから先ほど研究をするということですが、ぜひ推進していただきたいと考えます。この辺を含めて市長に下水道事業に関したお考えを伺えたらと思います。
P.139
◎斎藤文夫市長
何点かのご質問をいただいておりますけれども、市設置型でありますけれども、ご案内のように西川はダム関連の事業としてやられたのです。ですから、基本的には市の持ち出しというほとんどないような状況でやられた。ただ、コミュニティープラント型もあるし、こういう戸別設置型もありますけれども、やはりその地域にとってどれが一番経済的で適しているのかという、そういう見きわめ、これがまた大事かなと思っておりますので、先ほど部長のほうから答弁いたしましたけれども、ちょっとそういった調査、またはやはり地元に入っていってそういう意向、そういうものを収集したり、どういう手法がいいのか、そういうものを研究していきたいと思っています。
それと、進まない理由に、いろんな要件がありますけれども、ホテル、旅館については先ほど申し上げたとおりでありますけれども、1つは一時住宅ブームで建てて、既にそのころにつないだものはよろしいのですけれども、新しいものはよろしいのですが、そのつなぎ、つながないまま何年か、10年とか20年たってしまって、結局世帯そのものもやはり高齢化しています。そこにやはり新たな投資をなかなか決断ができないという、そういう経済的なものがかなりあるなと思っているのです。やはりこういったものもあわせて少し分析をしていきたいなと思っています。そういったものを総体的につなぐ、促進をするというために、例えばホテルにおいて、また個人においてもできないことへの助成制度の話がありましたけれども、それはそこら辺を見きわめた中でやはり助成をすることでやれるのか、そこまでの、ただ全部助成できませんから、市が何がしかの助成をすることであとは個人がそれを払えるものができるか、そういうものもさらにまたちょっと検討させていただきたいと思っています。その中で、助成制度もその地域に合った、先ほどちょっとオーダーメード型行政というようなものをちょっと私がそんな形で進めていきたいということをやりましたけれども、やはりその地域に合ったもの、どうしてもやはり公共下水につなげない地域というものもありますから、そういうものを含めた中でそれぞれに適した措置を検討していきたいと思っています。
P.140
◎福田一美上下水道部長
3回目のご質問にお答えいたします。
将来人口の件でありますが、見直しをいたしました平成22年当時、人口9万2,176人というようなことでございましたが、5年ごとの推計という形で将来人口について見通しております。平成27年には8万5,600人、平成32年には8万700人、平成37年には7万5,600人ということで減少する将来人口を見込んでおります。そういうことで、人口は減少し、当然負担は増してはいきますが、やはり日光市の特性といいますか、観光地としての汚水処理施設の整備ということは当然やっていかなくてはならないことであると思いますので、ご理解をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
P.140
◆25番(野沢一敏議員)
平成22年に検討した際の推定人口、大きく私が見ているデータと違いますね。1万人以上減少の幅が違うと。どのデータを採用するかというのはそれぞれですが、今までの人口問題研究所の推定をさかのぼってみますと、そのペースより早く日光市は人口減少しています。ここで言ってもあれですが、次回検討する際、また人口の動向、将来人口については極めて重要なファクターになりますので、慎重な扱いをお願いしたいと思います。
この日光市は、国内でも有数の国際観光都市です。また、少子高齢化による人口減少問題が市の最大の課題となっている自治体でもあります。観光のお客様が回遊を楽しんでいる観光地の排水路が異臭を放っていたのではおもてなしにはなりません。また、鬼怒川、大谷川、渡良瀬川の清流は大きな観光資源でもあります。この点からしても、当市における生活排水処理事業、重要な施策になっています。この排水事業、かつては下水道化構想とかいう名前で呼ばれていました。それが平成10年から平成13年ぐらいの間に国の方向転換というか、それも相まって生活排水処理。この中には、人口減少を考慮して、単に下水道、高額投資のものでなくて幅を持った考えを進めるべきだという発想があってこういう名前に変わったと聞いています。日光市における生活排水処理事業が中長期的な視点に立って適切に実施されることを求めまして、次の質問に移ります 。
第2の表題は、「杉並木の保護と安心安全の生活環境確保について」であります。杉並木に関することは、一昨日の和田議員、昨日の齋藤文明議員が質問されました。その内容を踏まえて質問をいたします。ことしの10月、台風26号で例幣使街道沿いの室瀬地区で倒木が民家の屋根を突き破り、居間にいた2人の男性の目の前に倒れてきた。民家は半壊し、2人の男性は幸いにも軽傷で済んだということですが、ご本人のお話を聞けば一歩間違えば死んでいた、そういう状況を伺っております。杉並木の倒木により人的被害が発生し、生命の危機すら感じられる状況の中で、杉並木の保護と生活環境の確保は相反する面を有しますが、これをどのように両立、実現していくかと、市としては何ができるのかということで質問をしてまいります。
1点目、倒木被害状況について伺います。
2点目については、昨日の齋藤文明議員のお話がありましたので、結構です。
3点目、杉並木所有者並びに関係機関との連携について伺います。
2項目めとして、未然防止対策に関すること、倒木の危険性の高い樹木の把握を関係機関と連携して行うべきと考えますが、それについてのお考えを伺います。
それと近接住民、杉並木の近くに住んでいる人たちへの聞き取り調査、今回の室瀬の例を挙げますと以前から倒木の危険性を感じていた、あの付近はおかしいという状況がありましたが、未然防止のための情報を適切に伝えるすべがなかったというお話を聞いています。杉並木の近隣に住んでいる人たちの情報というのは重要ですから、これは市が行っていくべきと考えますが、それについてご答弁をいただきます。
3つ目、杉並木110番ということ、今までいろんな形でその危険性、杉並木に関する情報、市に電話してもその関係は東照宮ですよ、その関係は日光土木事務所ですよということで、ある意味たらい回しにされてきた状況があります。今後は通報窓口、市に杉並木110番というものを置いて、それを啓発するようなチラシの配布や注意看板、このようなものを掲示すべきと思うが、お考えを伺います。
以上、2項目6点の予定でしたが、5点について伺います。
P.141
◎星野一晃教育次長
ご質問の第2であります「杉並木の保護と安心安全の生活環境確保について」の第1点、杉並木の倒木等の事故被害についてお答えいたします。
まず1点目、近年の被害状況につきましては、日光東照宮が統計をとり始めた昭和51年度以降から昨年度までの倒木数は合計308本で、昭和54年度の38本を最高に、近年では平成19年度の31本、平成24年度が24本でした。平成25年10月に発生した台風26号による倒木につきましては、現在東照宮で整理中でありますが、40本近くになるものと推測されており、最大級の倒木数であると言えます。その倒木による事故被害ですが、平成20年2月24日の強風では小倉町歩道橋付近の民家や電線の被害のほか、大沢で住宅の屋根の破損、今市で電柱や街路灯への被害が発生しました。また、本年の台風26号では、室瀬で人的及び家屋被害が発生し、宝殿でも民家に被害が発生しています。このように今回の台風は極めて大きな倒木被害を引き起こしました。
次、2点目は省略させていただきます。
次に、3点目、杉並木所有者並びに関係機関との連携についてでありますが、平成13年2月に栃木県教育委員会が日光杉並木街道を保護するための指針としての日光杉並木街道保存管理計画を改定いたしました。この中で、日光杉並木街道の保護施策体系として、具体的な保護、保存の方法についての検討を加えており、保護施策の実施のために並木杉の所有者である東照宮と県や市の行政機関に加えて地元住民等との連携が新たに位置づけられましたが、その具体的なかかわり方には触れられておりませんでした。この保存管理計画に基づき、杉並木の保護対策を総合的かつ計画的に推進するための組織として、県知事を会長とする日光杉並木街道保護対策連絡協議会が設置され、その下部組織として幹事会、担当者会が組織されております。地域の声を的確に杉並木の管理者、所有者に直接伝えられるようにするためには、この枠組みに地域の関係者が参画できるよう県に働きかけてまいります。
次に、ご質問の第2点、倒木と事故被害の未然防止対策についてお答えいたします。まず1点目、杉並木の現況調査についてですが、この調査はこれまで東照宮により定期的に実施され、その状況は台帳により管理、把握されております。その中で、危険木については、所有者において計画的に処分されることになっております。
次に、2点目、隣接住民への聞き取り調査についてでありますが、このたびの被害発生を受け、全ての杉並木が危険木になり得るとの再認識をいたしました。このようなことから、平成26年度日光杉並木街道保護対策連絡協議会において予定する危険木の区分判定に際しましては、地域住民の意向等を確実に反映させるため、保護対策連絡協議会組織へ地域住民が参画できるよう県へ働きかけてまいります。
次に、3点目、杉並木110番についてでありますが、杉並木に関しましては所有者、道路管理者、文化財の管理団体及び市とその役割に応じ複数の対応先があり、市民にはわかりにくい状況となっております。庁内での情報収集の一元化を図り、市と所有者及び関係機関との伝達体制を確実なものとするため、杉並木保護行政を所管する文化財課を窓口として的確に対処する必要があると考えます。なお、杉並木の保護の重要性を訴える内容とともに、通報窓口を明示したパンフレット等を作成し、自治会を通じ地元の皆様に配布するなど周知、啓発を図ってまいります。ご理解をお願いいたします。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
P.142
◆25番(野沢一敏議員)
10月の台風26号、今まで過去を振り返っても最大級の倒木被害だったというお話のようです。
それで、何点か再質問あったのですが、絞ってお伺いします。昨日のご答弁で、防災対策マニュアルをつくっていくというお話がございました。このときに、どういう視点でこのマニュアルをつくっていくのか。防災対策というお話でしたので、災害対応ではないのですね。防災対策。こんな視点からどのように考えているのか伺います。
あと、台風26号のときの状況を見ますと、杉並木街道3つありますが、そこの交通止め、枝が落ちてきて通行できなくなったから交通止めになった。だけれども、これは本来そういうことが予想されるときに事前に止めるべきなのだろう。地元の人は、風吹けばあそこ通ると危ないから行かないよと言うのですが、日光市は観光地ですから、外から来るお客さんがいた場合、太い枝が落ちてきただけでそれこそ人命を危うくする事故が起きる。それで、普通の気象災害は全て気象庁とか、例えば山岳道路であれば日光土木事務所が管理基準を決めておいて、降雨量が時間200ミリ超えたら交通止めですよとやるのです。杉並木街道に関することというのは、市が動き出さない限りはどこもそういうことをつくってくれないということなのだと思います。災害対策マニュアルどのように考えるのかも含めて、この点について伺いたいと思います。これ総務部になるのですか。お願いします。
P.142
◎斎藤康則総務部長
2回目のご質問ですけれども、昨日杉並木の倒木に絡めたマニュアルを作成するということをお話をさせていただきました。ご質問は、どういう視点で作成をするのかということだと思うのですが、一言で言えば沿線住民の生活を中心に考えた対応マニュアルということになるかと思います。日光市がつくっていくわけですので、当然そういう視点でつくっていくということになると思います。ただ、先ほど次長のほうの答弁にもありましたように、所有者とか管理者の問題がありますので、一方的につくって済むということではないので、そこら辺の調整というのは当然していかなくてはならないと思っております。ですから、今まで25のマニュアルつくっているのですが、今度もう一個つくるわけですけれども、今までのように庁内で割と作業が進められたのですが、今回の策定作業というのは関係機関との調整というのは十分やらなければならない、そうしないと地域の沿線住民の方たちの生活を守れるマニュアルにはならないかと思いますので、視点としてはそんなことを考えております。
あと、2点目の通行止めのお話も、1点目とも絡むのですけれども、当然道路管理者との協議というのが必要になってきますので、その辺も対応、対策のマニュアルの中で当然触れていかなくてはならない部分かなというふうに認識しております。ご了承いただきたいと思います。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
P.143
◆25番(野沢一敏議員)
答弁をいただきました。先ほど私申し上げましたが、未然防止ということからいうと災害に対するもの、それがあって初めて対策になるのだということですね。杉並木以外の自然災害に関しては、ほかの機関がそれを決めてくれる。その指示に沿って市は動けばいい。だけれども杉並木に関しては、恐らくですよ、協議、連携と言いますが、市が積極的に動かない限りは何にも変わってこないと思います。そういう認識を改めてお伝えしたいと思います。
杉並木街道保護、鈴木丙馬先生のいろんな論文も読ませていただきました。杉というのは寿命がありません。日光杉並木は壮年期のものだという記載です。ただ、この認識そのもの、保護をすれば何年でももちます、これは違います。現実的に倒木や枯渇木を見ていると、どんどん、どんどんふえています。ですから、日光杉並木の寿命というのは500年。そうしますと、もう400年たっているわけですから、これから加速度的に倒木の被害が出てくる。その際に、市は市民の生命、財産、生活環境を守る、これが役目ですから、これは別枠というか、別という形で取り組んでいかなければ大変な事態が近々起こってくると予想されます。非常に杉並木の保護と、周辺住民の安心・安全の生活環境確保、この両立、これは難しいです。いろんな形でさらなる先ほど申し上げたような立場に立って市が主体的にさらに取り組むことを行っていただきたい、このことを強く申し上げて私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
P.71
◆25番(野沢一敏議員)
25番、市民フォーラム志向の野沢一敏でございます。今回の一般質問では、当市における水田農業に関して、現状と課題、そして今後の取り組みについて、2つの表題に分けて質問いたします。
かつて水田農業は、稲作を中心に極めて収益性が高く、長く農業の中核を担ってきました。しかし、昭和45年、1970年から開始された減反政策、そして平成7年、1995年には食糧管理法が廃止され、それ以降米の価格は原則として市場動向により変動し、現在では生産原価も下回るような価格となっております。日光市において、特に今市地域では、現在でも水田農業は農業の主要部を占め、また当市では農業従事者の高齢化が進み、販売農家が年々減少し、農地の受け手である土地利用型農業の担い手確保、育成が必要となり、その取り組みが始まっております。また、市内では多くの地区で圃場整備事業が行われ、恐らく県内で地区数でいいますと今一番多く日光市管内で行われていると思います。農業経営体育成に向け、農業基盤の強化に取り組んでおります。水田農業について取り組みを開始する当市においては、よい機会というふうに捉えています。
そこで、第1の表題で、日光市における水田農業の現状に関すること、国の政策、制度に関すること及び水田農業をめぐる課題をどのように捉えているかの3点について伺います。
最初に、日光市における水田農業の現状に関することとして、農家数の推移と現状について、2つ目、担い手への農地、水田の利用集積状況について、3つ目、農業経営規模と販売金額の関係と推移について伺います。現状を明確にするために数値的な形が続きますが、よろしくお願いいたします。
次に、2項目め、国の政策、制度に関することとして、水田農業に関する国の政策、制度の動向について伺います。2つ目、現在行われている経営所得安定対策、平成24年度までは農業者戸別所得補償制度というふうに呼ばれていましたが、これについて、またこの制度を活用した場合の農業収入の試算例もあわせてお答えを願います。
最後に、3項目め、水田農業をめぐる課題をどのように捉えているかということで、効率的な土地利用の確立について、2つ目、基幹的農業従事者の高齢化について、3つ目、水田農家の生産農業所得について。
計8点についてご答弁を願います。
P.72
◎柴田明産業環境部長
25番、野沢一敏議員のご質問の第1であります「日光市における水田農業の現状と課題について」の第1点、現状についてお答えいたします。
まず1点目、農家数などの推移と現状について、農林業センサスに基づき、平成22年と平成17年の5年間の比較によりお答えいたします。これにつきましては、農家数など関連する農業関係の資料について具体的にお答えさせていただきます。なお、農林業センサスについては、水田農業のみではなく農業全般の数値となりますので、ご了承をお願いいたします。
初めに、当市の農家数の現状を申し上げますと、平成22年の農家数は2,655戸であります。その推移については、256戸、9%の減少となっており、経営規模の小さい自給的農家と専業農家が増加し、兼業農家が減少しています。
次に、基幹的農業従事者の現状を申し上げますと、平成22年の従事者は2,284人であります。その推移については、207人、8%減少となっており、65歳未満の生産年齢人口が減少し、75歳以上の高齢者人口が増加することにより一段と高齢化が進む状況にあります。
次に、販売金額規模別農家数の現状を申し上げますと、平成22年の販売農家は1,969戸であり、そのうち300万円未満の小規模な販売農家が85%を占めています。販売農家の推移については、276戸、12%の減少となっており、1億円以上がわずかに増加したものの、それ以外は全て減少しています。
次に、経営耕地面積別農家数の現状を申し上げますと、平成22年においては、販売農家のうち3ヘクタール未満の小規模農家が82%、3ヘクタール以上10ヘクタール未満の中規模が16%、10ヘクタール以上の大規模が2%という状況です。その推移については、10ヘクタール未満が減少しまして、10ヘクタール以上が増加しており、着実に規模拡大が進んでいます。
以上のことから、規模拡大に向かう専業農家と生きがいを志向し、規模縮小に向かう自給的農家が増加し、その中間に当たる兼業農家が減少しています。
次に、2点目、担い手への農地の利用集積状況と水田利用率についてお答えいたします。日光市農業公社では、経営規模を縮小する農家から委任を受けて担い手農家に対して農地を貸し付ける農地利用集積円滑化事業を実施しております。平成24年度の利用権設定の状況は、担い手への貸し付けが167件、145ヘクタールであり、件数、面積ともに増加傾向にあります。また、平成24年度の水田における作付面積は、ソバや飼料用米が増加し、3,647ヘクタール、水田利用率は約90%であり、わずかに増加しております。
次に、3点目、農業経営規模と販売金額の関係と推移についてお答えいたします。一般的には、経営規模が拡大すれば販売金額も増加すると捉えておりますが、さきに答弁しました販売金額規模別農家数、経営耕地面積別農家数の状況からは、そのように単純な見方をすることができません。農林業センサスにおける平成22年と平成17年の販売農家の比較では、着実に耕地面積の規模拡大が進んでいますが、1億円以上がわずかに増加したものの、それ以外は減少しております。農業経営にとって規模の拡大は重要な要素でありますが、近年の農産物価格の低迷なども販売金額に影を落としていると受けとめております。
次に、ご質問の第2点、国の政策、制度についての1点目、水田農業に関する国の政策、制度の動向について及び2点目、経営所得安定対策の現状については関連がありますので、あわせてお答えいたします。国の農政の基本方針である新たな食料・農業・農村基本計画により、再生可能な農業経営を確保するため、水田農業においては担い手だけでなく、兼業農家や小規模農家を含む意欲ある全ての農業者を支援の対象とする経営所得安定対策を実施しているところです。当市の実施状況につきましては、水田農家の96%が加入しております。この制度を活用した農業収入を試算すると、米と飼料用米の2ヘクタールを作付している小規模農家では約240万円となり、そのうち経営所得安定対策交付金は約75万円となります。また、米、ソバ、飼料用米の15ヘクタールを作付している大規模農家では約1,700万円となり、経営所得安定対策交付金は約500万円になります。
次に、ご質問の第3点、水田農業をめぐる課題についての1点目、効率的な土地利用の確立について及び3点目、水田農家の生産農業所得については関連がありますので、あわせてお答えいたします。土地利用型の水田農業において、効率的かつ安定的な経営で所得を得るためには、農地を集積し、農作業の集約や規模拡大による生産経費の低減を図ることが必要であります。この農地の集積、効率的な土地利用を図るためには、圃場整備など農地の利用条件を高める基盤整備が必要であると考えております。
次に、2点目、基幹的農業従事者の高齢化についてでありますが、平成22年の基幹的農業従事者のうち高齢者人口は1,439人、高齢化率も63%まで高まり、大きな課題となっています。ご理解をお願いいたします。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
P.74
◆25番(野沢一敏議員)
ご答弁いただきました。今の答弁である意味現状というか、そういうものが浮き彫りになったかと思います。当市において全体的に農家数が減少し、その中でも兼業農家と言われているものが大きく減少している。また、基幹的農業従事者、これはいろんな統計用語ではありますが、農業を生業とし、自営農業に従事している者という定義のようですが、65歳未満の生産年齢人口のものが大きく減少し、75歳以上に推移していっていると。平均年齢からいうと、今お答えはなかったのですが、全農業従事者の平均が57.1歳、ところが基幹的農業従事者は67.1歳という状況です。あと今の2つ言った内容をあわせて類推しますと、あと10年後、平均年齢は75を超えてしまうという傾向が予想されます。
経営耕地面積規模別農家数では、10ヘクタール以上が増加し、それ以下は全て減少していると。集積が進んでいる状況ですということです。市を介しての担い手への利用権設定というのは167件、145ヘクタールというふうに聞きました。当市の水田総面積が3,678ヘクタールという、大体こんな数字ですが、水田全ての貸借総計でいきますと371件、740ヘクタール。ですから、6分の1程度がもう既に貸借契約で進んでいる。その中での担い手への集積が先ほどの話ということになります。
また、水田利用率、水田農業による所得増加を目指すための利用率、栃木県でいえば県南のほうでいえば二毛作、稲と麦とかそういうことでいきますが、この北部においては昔はやっていましたが、やはり収入が多く得られないということでほとんどやっていない、利用率は90%という答弁がございました。
そんな中で幾つか再質問させていただきます。まず、第1にお答えいただいた基幹的農業従事者の高齢化の進行に関することで……済みません。これは結構です。
2つ目、答弁にありました主に経営所得安定対策の現状によるところで、農業収入の試算数値お答えいただきましたが、先ほどの240万円、1,700万円というのは農産物販売収入の合計だと思うのです。ですから、これ生産費のデータがあればお伺いしたいと思います。
もう1つ、この基幹的農業従事者の高齢化というものが中長期的に見て日光市のまちづくり、特に農村集落機能にどのような影響を与えるものと捉えているか。これは、単に農業という産業分野でなくていろんな形で今、市の行政の中でも言われているコミュニティー等の機能保持、そういう面から見たときにこの基幹的農業従事者の高齢化というのをどのように捉えているか、この2点についてご答弁いただきます。
P.74
◎柴田明産業環境部長
2回目のご質問にお答えいたします。
まず、ご質問の第1点、農業収入の試算をお答えいたしましたが、その際の生産費のデータについてでございます。当市の農業収入の試算を行っておりますが、基本的には農業再生協議会で把握している戸別所得保障制度、平成25年度からは経営所得安定対策ということで名称が変わっております。この交付金の収入データ、そしてJAの販売金額によりまして収入面からも試算を行ったものでございます。したがいまして、今回につきましては生産費データのような支出面については把握しておりませんので、ご理解をいただきたいと思います。
次に、ご質問の第2点、基幹的農業従事者の高齢化がもたらす農村、農村社会への集落機能の問題、影響についてどのようなことになるかというご質問かというふうに思っております。これにつきましては、大変難しい質問であるというふうに思っております。基幹的農業従事者の高齢化、これがかなりのペースで今進んでおりまして、農村の活力低下、それから市のまちづくりにも大きな影響を及ぼす、そのように受けとめております。このような中で、大切なことはそうした影響が出ないようにこれから取り組み、対策をいかに進めていくかということであるというふうに思っております。そのため認定農業者、集落営農など多様な担い手がこれからも受け継がれていくような農村社会、そして農村が持っている多面的な機能がこれからも発揮できる、そうした社会を目指していくことによって農業、農村の持続性がこれからも高まるのではないか、そのように考えております。ご了承をお願いいたします。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
P.75
◆25番(野沢一敏議員)
生産費については、恐らく後段で日光市の日光モデルというところで出てくるのかなと。私手元の資料で、これは農林水産統計、平成21年、米生産ということで、仮に試算してみますと2ヘクタールで生産費が200万円。15ヘクタールの1,700万円のうちの生産費というと1,408万円、これは日光市の現状に合っているかどうかわかりませんが、全国的にはこういう数値。恐らくもっと当市においてはかかるのではないかというふうに予想しております。それ見ますと、可処分所得なんていうもの念頭に置きますと、15ヘクタールを超えると結構可処分所得も生産費の中に含まれる、労働費も加算しますと1,000万円近い可処分所得が出てくるのです。これ何人でできるかというのがあるので、クエスチョンのところありますが、また農村機能、集落機能というお話、活力の低下とかお話がありましたが、今後影響の出ないようにすると、また私もそういうつもりで今質問しているのですが、これについても後段の質問に期待したいと思います。
それでは、1つ目の表題の答弁を踏まえて2つ目の表題に移りたいと思います。第2の表題は、「日光市における水田農業の今後について」であります。最初に、水田農業の今後に関することとして、1つ目、担い手、認定農業者育成の現状と今後の方策について、2つ目、水田農業の生産農業所得向上の方策について、3つ目、日光市における水田農業モデルについて伺います。
次に、2項目め、水田農作業受託者不足と確保対策に関すること、これに関しては1回目の答弁でかなり不足する傾向が見られるというご答弁がありました。それを踏まえまして、水田農作業受託者、委託者の推移と今後について、2つ目として、市域全体を対象とするような広域的農業法人の設立支援、また農地法変わりまして貸し付けであれば参入が可能になった企業等の農業参入支援についてどのように考えているか。2項目め、3つ目、日光市の農業公社の今後の活用について伺います。
最後に、3項目め、水田農業と農村集落の機能維持に関することとして、圃場整備事業における営農計画、策定支援、今日光市も農林課が主体となって一生懸命やっていただいていますが、これについて伺います。2つ目、地域農業を担う組織経営体、集落営農組織の育成支援について。
また計8点になりますが、ご答弁願います。
P.76
◎湯澤光明副市長 ご質問の第2であります「日光市における水田農業の今後について」の第1点、水田農業のあり方についてお答えいたします。
まず1点目、認定農業者育成の現状と今後の方策について申し上げます。認定農業者は、農業経営基盤強化促進法に基づき市町村が策定した農業経営基盤の強化の促進に関する基本的な構想、これに沿って当該市町村が認定をしています。具体的には、この基本構想に示した農業経営の目標に向けてそれぞれの農業者が作成する経営改善計画を市町村が認定し、認定を受けた農業者に対しては重点的に支援措置を講じることとしています。現在当市では219名の農業者を認定しているところです。このうち水田農業を中心とした土地利用型農業の認定農業者は125名、全体の約6割を占めています。認定農業者の方々には、引き続き日光市認定農業者協議会などの組織を活用して、それぞれの経営改善計画達成のための相談や経営管理能力の向上に向けた相互研さんができるよう支援をしてまいります。
次に、2点目、農業所得向上の方策についてと3点目、日光市における水田経営モデルについては関連がありますので、あわせてお答えいたします。水田農業は、1回目の答弁でも申し上げましたとおり、一般的に経営規模が大きいほど農業所得に直結する生産性、効率性が向上することから、引き続き農地の利用集積による規模拡大を支援してまいります。また、経営の安定を図るため、米の需給調整と相まって、土地利用型の農作物である麦、大豆、ソバなどの作付奨励のほか、収益性の高い園芸作目、特用林産物、畜産との複合経営を推進してまいります。当市の農業経営基盤の強化の促進に関する基本的な構想では、個別経営体当たりの目標年間所得を600万円としています。このため基本構想では、所得目標を達成する営農類型として、水稲を基軸に麦、大豆、ソバなどを加えた経営モデルのほか、園芸作目、特用林産物、畜産との複合経営モデルなど12通りの水田経営モデルをお示ししているところです。
次に、ご質問の第2点、受託者不足と確保対策についての1点目、受託者、委託者の推移と今後の動向についてお答えいたします。日光市農業公社が取り扱う農地利用集積円滑化事業、いわゆる利用権設定事業において、農地を委託したい農家は平成20年度に90戸であったものが5年後の平成24年度には167戸とほぼ倍増してきました。一方、農地を受託できる農家は同じ5年間で66戸であったものが79戸にとどまっています。受給のアンバランスが生じている状況です。農村における基幹的農業従事者の高齢化に伴い、このアンバランスは一層顕著になってくることが想定されます。
次に、2点目、広域的農業法人の設立支援と企業の農業参入への支援について及び3点目、農業公社の活用については関連がありますので、あわせてお答えをいたします。水田農業の担い手が不在であり、または不足する地域において、次善の方策として集落営農の手段を用いて営農活動を展開することはご承知のとおりであります。集落営農は、一定のまとまりのある農村において農作業の一部あるいは全部を共同で行おうとするものですが、総じてこの集落営農にあっても中核となる担い手が存在しないと持続して活動することは困難となっています。認定農業者や集落営農など、いずれの担い手も不足する地域において、土地利用型農業を維持していくためには外部の力をかりる、これも選択肢に加えていかなければなりません。このため日光市農業公社の機能を拡充した広域型農業法人としての再構築あるいは農業に意欲的な企業の参入を支援することは、これは避けられないことと考えております。
次に、ご質問の第3点、水田農業と農村集落の機能維持についての1点目、圃場整備事業における営農計画策定支援についてお答えいたします。圃場整備事業の目的は、地域の担い手が効率的な水田農業を営み、安全で安心な食糧を合理的な価格で安定して供給できるよう、その基盤づくりをするものです。このため事業実施に当たっては、担い手に一定割合の農地を集積すること、あわせて一定数の認定農業者の育成を定めた促進計画の作成が義務づけられています。促進計画の作成は、当事者である圃場整備実施地区の農業者の総意に基づくものでなければなりませんので、営農全般、農地流動化に関する意向調査や担い手の選定について、引き続き事業実施区域に組織される圃場整備推進委員会を中心に、土地改良区、県の協力をいただきながら支援に努めてまいります。
次に、2点目、集落営農組織の育成支援についてお答えいたします。現在当市では、ソフト面の支援として県、JAかみつがと連携し、地域農業を担う集落営農の組織化、法人化を図る地域農業担い手組織育成事業を実施しています。また、ハード面では、集落営農推進の核となる担い手集団が利用する農業用機械の導入や施設整備を支援する日光市担い手による集落営農推進事業を実施しております。引き続きこれら事業を活用した支援を継続するとともに、人・農地プランの作成の際の集落座談会などを通じて、地域の合意に基づく集落営農組織の育成に努めてまいります。ご理解をお願いいたします。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
P.77
◆25番(野沢一敏議員)
答弁いただきました。農業者でもある副市長からご答弁いただいたということで、行政の経営も含めて極めて丁寧なご答弁があったように聞かせていただきました。農作業の受委託のバランスという形からいきますと、先ほどの1回目の答弁を全体トータルして試算していきますと、市内の水田が3,600ヘクタール、小規模、家庭菜園的なものと大規模が残って、真ん中の兼業農家が減っていく。また、販売農家の推移なんか見てみますと、そういう枠組みの中の4割程度が今後農作業から離れていくだろうということを仮に予想すると、今後1,000ヘクタール程度の水田が農作業の委託側に回ってくる。そのときに現在の日光市の受託側の形、かつては米が高い時期にはいろんな形で、機械化銀行とか頼めばかなり状況の悪いところでも受けてくれるような状況がございました。ところが、このところの米価の低迷でこの機能が著しく低下しているという現状があります。先ほど答弁の中で、今後それに対して日光市農業公社の機能拡充、強化という話がありました。また、適正な形での企業の参入なんかも支援していく。この企業の参入なんていう形からいきますと、いろんな地区の例からいきますと、建設業者さんが農業に参入してくる。今まで作業員として働いていた農家のおじさんがオペレーターになってなんていう形に推移していくような形というのは、県内でも幾つも例があるようです。いろんな形があるのだと、それに向けて支援していくというお話です。圃場整備事業における営農計画、これ先ほど促進計画というお話がございました。圃場整備事業推進委員会を組んで解散するまでというのは、大体10年以上かかるのです。先ほど冒頭のお話の中でもいたしましたが、その圃場整備が今県内で一番多い地区が動いているこの日光市の現状において、この機会を逃すことはないだろう。もっともっと、人・農地プランに関しても話がありましたが、やっぱり国の政策からいうと地域の集落営農の立ち上げは市町村に委ねるという、そういう方向性が見えています。なかなか難しい状況もあるのかと思うのですが、そんな形でいきますと、水田農業に関してこれから日光市が取り組む課題というのはたくさんあるように今のご答弁を伺っても感じました。
そこで、再質問いたします。これ聞くのもあれなのですが、農地を借りる担い手がふえない状況の背景、原因は何なのだろうか、これについてどう捉えているか伺います。
2つ目、広域型農業法人等の設立について、農業公社について言及がありましたが、具体的にどのような対処、どのように農業公社の機能拡充、強化等を行っていくお考えなのか。たしか農業公社は、市が3分の2の出資、JAが3分の1の出資という、そういう形の形態かと思いますので、市の取り組むべき方向性というのを示すことによってある意味変化も促進されるのかなと思いますので、それについて伺います。
3つ目になります。ご答弁にあった人・農地プラン、これは平成22年度の国の農業の基本計画の中で示されている内容なのですが、地域農業マスタープラン、こう正式には呼ばれるものです。これにおける日光市の取り組み状況、どれくらいの地区で始まり、またできているのかということを伺いたいと思います。
また、国が期待する人・農地プランの作成に行政体としてかかわっていくことを想定すると、現在の農林課の体制で対応可能なのかどうか。やっぱりマンパワーがないとどうにも対応ができないということはあると思うのですが、今の人員削減の流れの中でどのようにお考えになっていくのか。
計3点について再度伺います。
P.78
◎湯澤光明副市長
2回目のご質問で3点いただきました。
まず、1点目、担い手がなかなか増加しないその背景についての見解ということでございます。少し水田農業とは離れますが、かつて塩野室の萱場という酪農地帯は後継者に困ったことがございませんでした。それはなぜかといいますと、十分生活が成立するだけの所得が確保できたというところが背景にあるというふうに私は捉えておりました。今回の水田農業につきましても、その構造は全く同じだと思います。1回目の答弁の中で産業環境部長が15ヘクタールで、1,700万円の農業総収入があると。一般的に水田農業の所得率は40%と言われています。ですから、単純に1,700万円に40%を掛けますと680万円という数字です。これは、先ほど答弁しました基本構想の600万円に匹敵するものです。ただ、その中にはこれまでの戸別所得補償方式が500万円入っているという状況ですので、そういうふうな食糧の安全保障という観点からも、相当の国の支援もいただきながら、やはり経営として成り立つ農業があることが担い手を確保できる大前提になると、そのように考えてございます。
それから、2点目の農業公社のあり方についてお答えをいたします。農業公社、先ほどお話がありましたとおり、基本財産3,000万円、日光市が2,000万円、JAかみつがが1,000万円という出資をしております。その中には、一般財団法人の形態をとっているわけでして、評議員会と、それから理事会があります。評議員は6名でありまして、このうち1名は市長が就任しているところでございます。理事は7名で、市職員が3名でありますので、そのような中では農業公社に対しては相当の発言のことはできるという環境は整っていると思います。農業公社につきまして、現在の定款では直接農作業を行うことはできません。また、定款を変更して農業公社が直接農業をするということが今現在農地の貸借事業をやっている中で果たしてそれは妥当な形態なのかと、これは議論があるところであると思います。鹿沼市の例ですと、有限会社という形態をとっております。いろんな活動をするということを考えれば、今の一般財団法人ではなくて株式会社あるいは農事組合法人等を模索することのほうが応用力は広がると、そのように考えているところでございます。
3点目の人・農地プランの日光市の現状でございますが、現在8地区で展開をしております。1つの地区は集落の単位で展開しておりまして、そのほか7地区については集落内の特定の地域を対象としております。この中で豊岡地区の1つの集落内の地区においては、集落営農の話し合いが行われていますので、日光市で5つ目の集落営農が誕生するものと期待を寄せているところでございます。
以上でございます。
P.79
◆25番(野沢一敏議員)
広域型の農村、農業生産法人、やはりJAが上都賀のエリアで1つ形になっていまして、その中に鹿沼、日光というのがあります。おのおの独自の方向性でということもあり得るのでしょうが、やはりその中でかなりの主要を占めるJAがあるということからいうと、鹿沼市の形を追いかけていく必要があるのか。日光市の特徴も加味しながらということですが、有限会社、株式会社、そういう形のことも考えられるのかな。これに関しては、今までの答弁の中にもありましたが、15ヘクタールを超えるとかなりの可処分所得が生み出せる可能性があるわけです。鹿沼市に関しては、昭和49年からずっと受託作業を公社でやっていた。そこで25名程度の雇用をしながらやっていったわけです。平成14年には先ほど答弁にあった形がある。ですから、広域型の法人をつくって日光市でも収益を上げる。水田農業にこれは限らずですが、いろんな形の6次産業なんか、販売のほうも含めて、動けるような形にすればかなりの一つの経営体、雇用の創出源となり得るのではないかというふうに考えますので、これについてはよろしくお願いしたい。
また、集落営農、先ほどお話がありました。全くその地区内に担い手がいない、そういう地区もたくさんございます。やはりそれでも農業用の耕地がある。そうしますと、それをどうしていくのかというふうに考える中で、ある意味それを受委託の形に持っていくのとあわせてコミュニティーづくりを一生懸命やっている。実際市内にはそういう自治会、集落がございます。コミュニティービジネスとして農業を取り入れていくというような話を一生懸命もう3年も4年も協議する中で、人・農地プランありませんでした。圃場整備営農部会もありませんでした。独自にやっているところがございます。やはりこういうことを考えても、今の時期を捉えた集落営農の協議会、こんなものというのは非常に有効だと思いますので、今まで以上に取り組んでいただきたいと思います。
最後になりますが、農村集落、農村のある意味まちづくりという視点に立った形で、やはりこれから次期総合計画の策定始める時期にあるのだと思うのですが、この辺について最後に市長にご所見をいただけたらと思います。
P.79
◎斎藤文夫市長
農業、農村の中におけるまちづくりという視点ということだと思いますけれども、今までデータ等で明らかにいろいろなったわけでありますが、例えばよくまちづくりという視点からいうと、俗っぽく言いますと、やはり若者がいなくてはだめだという、あとはよそ者、それとばか者と、こう3つが言われています。農業、農村においても後継者、これが一つの課題になっているわけでありますから、若者という点においては後継者育成、やはりこれが大事なことかなと思っています。それと、先ほどこれは副市長の答弁の中で、例えば企業であるとか広域法人であるとか、そういう話が出ましたけれども、ただこの場合にはまちづくりの観点からいいますと、今出たコミュニティーのそういう崩壊みたいなものを伴うようではちょっと問題があると思うのです。やはり今までで農地、農業、これは米をつくったり、食物をつくるだけではないわけです。一つのコミュニティーの形成、まちづくり、そういう観点から、農地があったり、機能的には例えばダムの形態もあるとか、いろんな要素を持っているのが農業、農村地域だと思っていますから、そういう中で一つの社会を構成する、そういうものを我々としては農業、農村に求めていかなければならないと思っているのです。その中で所得がいかにふやせるか。そうすればやはりそこに定着して人が張りつく。これからも継続して後継者が生まれるという、そういう構図になってくるのだろうと思っていますので、やはり農業、農村が元気にならないと日光市の市全体の元気にはつながらないと思っていますので、いろいろご提案もいただいております。農業公社のそういった有限会社、株式会社化とか、そういったものを実際模索をしながら、結局もうかる農業、それを目指さなければいけないなと、そのように思っています。そういう中にやはりいいまちづくりが生まれてくる、そう理解しています。なかなかまとまりませんが、そんなことで言わんとすることはご理解いただけたかなと思っています。
以上です。
P.80
◆25番(野沢一敏議員)
今市長ご答弁いただきました。
1点だけ。広域型の農業法人とか企業が入ってくるということがコミュニティーの崩壊につながるのではないか。私は、全く反対に考えています。やはりある意味その2つというのは、集落営農があって、2階建てで考えていく必要がある。なぜかというと、基本的に農業所得が上がらなければそれを放置していくということが必要なわけです。片や法人に集積していく、そんな形があると思うので、これ1点だけお話ししておきたい思います。
時間も参りました。いろんな形で今まで以上に市の農業に関してかかわりを深めていっていただくことを強く申し上げまして、私の一般質問を終わります。
P.116
◆25番(野沢一敏議員)
25番、市民フォーラム志向の野沢一敏でございます。今回の一般質問では、「土沢インターチェンジ活用事業について」質問をいたします。
日光宇都宮道路の土沢インターチェンジは、平成23年3月に開通しました。そして、平成25年3月10日には国道121号板橋バイパスが全線開通し、日光市の産業振興を促進するとともに、沿線地域の活性化に期待が寄せられております。平成24年度には、土沢インターチェンジ活用事業検討基礎調査が実施され、11月にはその報告書が提出されています。報告書作成から半年余りが経過する中で、この調査結果を庁内でどのように協議、検討が加えられたのか、このようなことも含めて質問したいと思います。そこで、今回の質問では土沢インターチェンジ活用事業検討基礎調査報告書に関すること並びに土沢インターチェンジ活用事業の今後に関することの2項目について伺います。
最初に、土沢インターチェンジ活用事業検討基礎調査報告書に関することとして、事業検討の背景と目的について、2つ目、調査対象地域の現状と課題について、3つ目、調査対象地域における土沢インターチェンジ周辺の特徴について伺います。
次に、2項目め、土沢インターチェンジ活用事業の今後に関することとして、上位計画等との関連について、2つ目、地域活性化にかかわる生産環境について、周辺地域の観光動向と観光資源の分布状況について、地域づくりの方向性と具体的施策について、最後に土沢インターチェンジ活用事業の今後のスケジュールについて、以上8点についてご答弁をお願いします。
P.116
◎斎藤智明企画部長
25番、野沢一敏議員のご質問の「土沢インターチェンジ活用事業について」の第1点、基礎調査報告書についてお答えいたします。
まず、1点目、事業検討の背景と目的についてでありますが、本事業は議員からございましたように平成23年に開通した土沢インターチェンジと国道121号板橋バイパスの全線供用開始を背景に、周辺地区が持っている潜在的な価値を生かした地域づくりのあり方と施策について検討するための基礎調査を行ったものであります。なお、この調査の対象地域は、土沢インターチェンジから周辺地域へのアクセス環境及び地域の生産環境等を踏まえ、大沢インターチェンジから今市インターチェンジ周辺とし、人口や土地利用等の現況、地域産業の現状など調査、分析したものであります。
次に、2点目、調査対象地域の現状と課題についてでありますが、対象地域の人口、土地利用、交通網、地域生産環境、観光及び上位関連計画の6つの視点により整理しております。まず、人口につきましては市全体の人口減少が進行している中、土沢インターチェンジ周辺地域の減少幅は全体的に緩やかな状態にあります。しかし、対象地域においても少子高齢化や、一部地域では人口減少が加速しております。また、労働人口の減少により地域産業の衰退や地域コミュニティーの希薄化、活動の縮小化が懸念されています。次に、土地利用につきましては、田川の沿岸には優良な農地が広がり、日光宇都宮道路沿道や地域中央には林地が広がっております。新里街道沿いでは、農地や林地から住宅地への転用が見られ、沿道の土地利用が生産の場であるとともに居住の場としての機能が加わっております。また、新たな産業団地の整備が計画されており、地域生産力の増加や雇用の拡大など発展が期待される地域であり、今後も農地や林地の転用の可能性が考えられます。次に、交通網につきましては、多くの幹線道路の結節点である対象地域は交通利便性の高い地域であります。しかし、観光シーズンにおいては日光宇都宮道路や国道の渋滞が頻繁に発生し、交通渋滞緩和対策が長年の課題になっております。このような状況の中、土沢インターチェンジ周辺は鬼怒川、川治方面への新たな玄関口として機能することが期待されます。次に、地域生産環境につきましては、全市的に農家数が減少している中で、当該地域も同様の傾向を示しております。また、農業従事者の高齢化により販売農家から自給的農家への転向や後継者、農業従事者不足による離農が振興しております。次に、観光につきましては日光街道と例幣使街道に特別史跡、特別天然記念物の二重指定を受けた日光杉並木がありますが、今市地域における観光客入り込み数は平成16年度をピークに減少が続いており、平成23年の東日本大震災大震災はその傾向に拍車をかける結果となりました。なお、上位計画との関連につきましては、この後ご質問の第2点でお答えいたします。
次に、3点目、土沢インターチェンジ周辺の特徴についてでありますが、土沢インターチェンジから国道119号を結ぶ板橋バイパスの沿道及びその周辺地域について、特筆する3点についてお答えいたします。まず、土地利用状況については田川沿い農地が広がり、新里街道沿線には平地林が広がっています。また、板橋バイパスの沿道には農用地区域に指定されていない白地地域や民有林があり、新たな土地利用の可能性が期待できる地域と特徴づけております。次に、交通網については、板橋バイパスは当初板橋方面とのアクセスに限定されていましたが、全線開通することにより北側のアクセスが可能となり、新里街道や国道119号森友バイパスにも連結し、鬼怒川、川路方面への玄関口としての機能が期待されます。また、土沢インターチェンジと今市インターチェンジ間が無料で利用できることから、板橋方面と今市市街地との連絡にも利用されており、新たなルートが形成されております。
次に、地域産業について、まず農業では稲作を中心に、一部農家においてシクラメンを初めとする花卉類も特産品として生産しております。また、新里街道沿いには伝統あるしょうゆ醸造工場や電子部品工場などの産業集積地区を有し、加えて新たに産業団地の整備が計画されております。
次に、ご質問の第2点、土沢インターチェンジ活用事業の今後についてお答えいたします。まず、1点目、上位計画等との関連につきましては、総合計画後期基本計画及び都市計画マスタープランにおいて、土沢インターチェンジの交通結節点としての優位性を生かした土沢地区への産業集積や流通を含めた複合開発の誘導を図ると位置づけております。
次に、2点目、地域活性化にかかわる生産環境について及び3点目、観光動向と観光資源の分布状況につきましては、まとめてお答えさせていただきます。まず、農業におきましては土沢インターチェンジ周辺は稲作が中心でありますが、ニラを中心とした野菜類、大豆、ソバ及び一部農家では花卉類を特色ある農産品として生産しております。また、工業においては新産業団地が計画中であることから、人、物の新たな流れを構築することでにぎわいを生み出せる可能性のある地域と位置づけております。また、観光動向につきましては、土沢インターチェンジ周辺において既存の観光資源が少ないことから、この地域で観光活動を促すには、新たな観光資源の創出が課題となっております。なお、この課題解決のための一つの手法として、農業の観光面での利活用も考えられますが、同時に近隣及び周辺にある既存の施設の役割について配慮する必要があるとも考えております。
次に、4点目、地域づくりの方向性と具体的施策につきましては、報告書の中で6つの地域づくりの方向性と、あわせまして観光交流の玄関口としての地域の魅力を発信することを基本テーマに、2つの施策を例示しています。今後設置する庁内検討組織や地元住民による検討委員会において、調査結果をもとに具体的な施策について検討してまいります。
次に、5点目、今後のスケジュールについてでありますが、まず7月に庁内における関連部門の担当者で構成する横断的な庁内検討組織を設置いたします。この組織では、さまざまな分野において多様な側面から基礎調査の結果を精査した上で、市として土沢インターチェンジ周辺をどのように位置づけ、どのような活性化策が可能なのか、また今後の方向性について検討いたします。その後地元住民などの検討委員会を発足して地域の活性化についての地元の意見を集約します。この意見と検討委員会、庁内検討組織での意見をまとめ、今後の土沢インターチェンジ周辺活用の方向性を決めてまいりますので、ご理解をお願いいたします。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
〔16番 斎藤伸幸議員着席〕
P.118
◆25番(野沢一敏議員)
答弁をいただきました。私は、これまで平成18年の12月定例会から計4回にわたってこの土沢インターチェンジ周辺地域の活性化、地域振興について一般質問を行ってきました。この間執行部のご理解のもと、日光産業団地の造成が始まり、周辺地域の道路や下水道等の産業基盤整備計画も着実に進んでおります。また、今ご答弁いただいたように、このインターチェンジ活用事業を検討開始するための基礎調査が実施されてきました。土沢インターチェンジ周辺地域の活性化地域振興については、順調に推移しているという見方もあろうかと思います。しかし、現在国道121号板橋バイパスが全線開通した状況において、私はこの関連事業をさらに促進させる、またスピードアップさせる必要性があると考えております。先ほどの答弁によりますと、背景と目的、答弁のとおりだと思います。また、基礎調査の対象地域としては森友、板橋、今市の市街地、平ケ崎、千本木、吉沢、室瀬、そして大沢地区では木和田島、大沢町に及ぶ広範にわたっての基礎調査が行われております。恐らく活性化事業というのは、そういう範囲をある意味対象として構築していく大きな事業になるのだと考えております。また、この地域の現状と課題、午前中の一般質問、和田議員の質問に対するご答弁にもありましたが、人口動向、人口の減少問題、これについては日光市の大きな課題であります。また、ご答弁の中で今後の日光市のあり方等を検討するにおいては交流人口の拡充、こういう形の視点というものが大きく取り上げられなければならないというようなご答弁がございました。まさにそのとおりだと思います。このインターチェンジ周辺地域の特徴という形からいきますと、答弁にあったようにいろんな優位性がある地域であります。ある意味まだまだ未開発の地域、振り返りますと30年くらい前ですか、今市インターチェンジが開通するという時期にも同じような議論があったかと思います。あの丘陵地に産業団地をつくろうというような話があったように、私はまだまだ子供でしたから伝え聞いた覚えがあります。ただ、今市インターチェンジ、それから30年、40年経過する中で、もう土地利用に全く余裕がない、なくなってしまった。恐らくできた当座というのは、まだまだ利用可能な土地があったはずなのですが、放っておけば民間の投資等の絡みもあってどんどん張りついてくる。そういう意味では、これから土沢インターチェンジ周辺を考えるときに早目に大きな枠組み、大きな計画のもと、この地域の活性化をリードしていく考えがなければならないというふうに考えます。土沢インターチェンジ周辺の特徴というのは、そんなものがあるのかなと考えております。項目1の答弁については、おおむね了解といたします。
項目2について、上位計画等との関連についての答弁。総合計画後期基本計画、都市計画マスタープラン、それと答弁にはございませんでしたが、当然今進行しています中心市街地活性化計画、また観光の面からいえば日光観光圏整備計画なんかとも大きく絡んでくる内容だと思っております。やはり都市計画マスタープランなんかを考えますと、非常に実現そのものを具体的に、実現そのものの可能性を考えた上で書き込むというより、ある意味大きな太枠の方向性を示すプランだと思いますが、やはりそこに記載されているような内容をベースにしてこの地域は考えていくべきだろうというふうに考えています。
2番目の地域活性化にかかわる生産環境について、ご答弁にもございましたが、これにつきましては周辺地域、農業地帯、新里街道というお話でしたが、本町猪倉線周辺の平地林には産業の集積が見られる、また今日光産業団地の造成も行われている、そういう地域です。ある意味商業とか、そういうものが全くない地域ということが言えると思います。生産環境からいきますと農業、今農業が置かれている状況というのは非常に厳しい。今私は田川沿いの圃場整備事業の推進委員会をやっておりますが、あそこには若い時期から専業でやっている農家の人というのは一軒もないのです。対象が70世帯ぐらいあるのですが、一軒もないのです。どういう地域かというと、やはり若い時期から兼業で仕事をしながら農業をやっている、定年になったら農業に戻ってくるなんていう、そういう状況の地域です。非常に特徴的な農業をやっている地域でもございます。
3つ目の観光動向や観光資源の分布状況、ご答弁のとおりだったと思います。今観光について見ますと、この秋過ぎには日光市観光協会が新たに発足する運びになっている。そこで、今まで4つあった観光協会が新しい観光のスタイルを描いていくのだと思うのです。そのときにやはり世界に冠たるいろんな観光資源を有する日光市ですが、やはりそこにプラスワンのもの、もっと厚みのある観光というものをつくっていかなかったら、観光協会が合併した意味も薄れてしまうのではないかというようなことも考えます。この周辺には、際だった観光資源と言えるようなものはないというご答弁でした。新しい観光、着地型の観光とかニューツーリズムとかグリーンツーリズムとか、そういうふうに言われるような新しいもの、今ある観光資源プラスワンのものをつくっていくとすると、改めて見るとこの地域は物すごい有効性を含んだ地域なのだというふうに改めて感じるところでございます。そんな中で、2項目めの2番目、3番目についてはおおむね了解といたします。
それでは、2回目の質問をいたします。項目2の1点目につきまして、この1点目は上位計画等との関連でございます。都市計画マスタープランに示されるこの地域の整備方針をこの土沢インターチェンジ活用事業にどのように反映させていくのか、これから庁内の検討会が始まるということではございますが、都市計画マスタープランというものの位置づけも含めてお考えを伺いたいと思います。
項目2の4点目、地域づくりの方向性と具体的施策について、これにつきまして先ほどもお話をさせていただきました中心市街地活性化事業との関係、すみ分けについてどのようにお考えなのか伺います。
2つ目として、農業と観光の連携について、これについては日光市の新しい観光のありよう、また今苦境に置かれている日光市の農業というものをこれからどんな形で考えていくのか、そこには恐らく連携というものが必要になってくると思いますが、これについての考え方について伺います。
また、観光のみを見てみますと、団体、画一、見学重視と言われている今までの観光の姿から、個人、多様化、体験重視、このように変化していく中で、その変化に対応した観光資源づくりについてどのようにお考えなのか伺います。
また、地元にある生産環境を利用したブルーベリーや梨などのオーナー制度や貸し農園を利用した農業体験と滞在型の観光、この可能性についてどのようにお考えなのか伺います。
そして、最後に今後のスケジュールについてでございますが、新しい交通インフラ、インターチェンジができて国道121号板橋バイパスが完成した。ただ、この道路がどのように利用されているのかという現状把握も必要かと思いますので、この供用後の交通動態調査の実施状況と結果がわかっていればお伺いしたいと思います。
それと、今後のスケジュールで7月に庁内の横断的な検討を開始し、その後地元の人たちを交えた形の委員会を立ち上げるということですが、この時期、構成メンバー、メンバーの選定の方法、協議の内容について、わかる範囲で結構ですから、ご説明いただきたいと思います。
また、土沢インターチェンジ活用事業の本格実施までの間の対応として、今板橋バイパスは4車線供用の用地を取得しております。現在は、2車線の暫定供用の形になっております。そのため道路敷の遊休地がかなり広範に、広い面積で今残っているかと思います。恐らくこれを活用するということは、ある意味容易にと言っては語弊がありますが、可能なことと思いますので、これについての執行部のお考えを伺います。
以上、7点にわたるかと思いますが、ご答弁お願いします。
P.120
◎斎藤智明企画部長
それでは、2回目のご質問にお答えいたします。
まず、全体を通しての結論を先に答弁させていただきますと、これにつきましてはただいまのやりとりで出てきました庁内の検討組織、これは観光部署が集まって庁内で報告書をもとに内容を精査するわけでございますけれども、その庁内の組織、それからそれをもとにして今後設置する市民、それから地元の皆さんに入っていただいた検討組織、この中で内容、方向性及び具体的な内容について検討をしていくということが全体を通してのまず結論でございます。
それでは、少し順を追って現在の方向性というような視点から一つ一つ説明をさせていただきます。まず最初に、上位計画との関連でございますけれども、まず都市計画マスタープランとの関係でございますけれども、そもそもこの都市計画マスタープランにつきましては日光市の具体的な将来像というものを土地利用の規制、あるいはその他の事業を都市計画決定する場合や変更のための指針になる計画でございます。この中で、土沢地区というのは土沢産業地区という名称のもとに複合開発を誘導できる、あるいは産業集積を誘導できる、あるいはターミナル機能を有する駐車場の整備などが誘導できるような地域ということで位置づけられているものでございます。したがいまして、この都市計画マスタープランに位置づけられている事業というものを前提にして、今後冒頭に申し上げました検討委員会の中でこれらの具現化を検討していくということになります。
それから次に、中心市街地活性化事業との関連、すみ分けにつきましては、今回の調査報告書の中でも最後のまとめのところで今後の可能性、方向性という具体的な提案がなされている中で、この地域を入り口として中心市街地への誘客のルートを確保する、あるいは案内するというような機能が持てるのではないかと、そういった位置づけになりますので、当然この地域を含めて、それから日光市全体の入り口として、特に鬼怒川・川治方面への入り口という側面が強くなるかと思いますけれども、そういった形でほかの地域、あるいはほかの地域のいろいろな資源に対してここからスタートするという、そういった位置づけがされておりますので、中心市街地活性化事業との関連というものもそういった視点から整理をしていくことになると考えております。
次に、農業や観光との連携の話と、次の新たな観光資源づくり、この2点については少しまとめてご答弁させていただきます。ご質問にございましたように、この地域の観光資源というのは稲作だけではなくて、ご案内のように果樹をつくったり花をつくったり、そういったものが前提にございます。その中で、これもやはり報告書の中では、例えば地域ブランドを商品とする直売所の可能性、あるいは観光農園、それから市民農園、こういったことも方向性、あるいは可能性がある方向性ということで例示されております。これらにつきましては、これも結論のところで申し上げましたように今後検討していくということになるわけでございますけれども、特に農業と観光、それから観光の具体的な施策に関しましてはいろいろな計画、あるいはそれを今度は実行していく段階でも地元の皆様、あるいは関係する皆様の将来的にわたっての主体的な取り組みというのが前提になってくるかと思います。したがいまして、これもそういった視点も交えた中で今後設置する2つの組織の中で検討を進めていきたいというふうに考えております。
次に、交通量の調査、これに関しましては一応県が1年を目途に交通動態の調査を実施するという方向でいるということでございますので、この動態の状況につきましては平成26年の年が明けたころには状況が把握できるのではないかというふうに考えております。
次に、地元の皆さんを交えた市民の検討組織、これの立ち上げ時期でございますけれども、先ほど冒頭に申し上げましたように、庁内の各関係部署の庁内検討組織は来月立ち上げます。ここで、報告書の内容、あるいはそれぞれの所管する立場からの視点を交えて精査した上で10月を目途にこの組織を立ち上げていきたいと思っております。一応現在想定しております組織につきましては、大学の先生にもアドバイザーとしてなっていただいて、そのほかに委員としては自治会の代表の方、それから農林業関係者の方、それから地元の企業の関係者の方、そして関係する行政機関、こういった方々に委員としてなっていただく予定で、合計15名程度の組織を考えているところでございます。なお、メンバーの就任に当たりましては、各団体からの推薦、あわせて公募等についても今後検討していきたいと考えております。
次に、本格実施までの間の道路敷の遊休地、これは用地買収してあるけれども、まだ使っていないという、県の土地になるわけでございますけれども、この活用につきましては、県の姿勢としては自治体が占用主体として活用するのであればということで日光市としての打診を受けておりますので、現在その利用可能な部署があるかないか、あるいはそれが考えられる部署で道路の遊休地の利用について検討をしているところでございます。
以上で2回目の答弁とさせていただきます。
P.122
◆25番(野沢一敏議員)
まだまだフライングだよと冒頭から言われたような感じがいたします。先ほども言いましたが、やはり将来を見据えたときに重大案件だと思います。午前中の答弁の中でも日光市の将来を考えたときに交流人口を拡充させていくと。これは、どういうことかといいますと、地域内経済というのは人口が減少すればどんどん、どんどん縮小していってしまう。ところが、この日光市は現在でも多数の観光客の皆さんが来たり、そういう地域外との経済リンク、そういうものを模索し、それを拡充していけば日光市の将来は人口が減っていってもこの経済活動というのは維持できるだろう、また経済が維持できるということはその後の人口減少のスピードを低下させることができるだろう。恐らくこれから次期の総合計画なんか考えるときは重大案件、恐らく物すごいキーワードになってくる内容なのだと思うのです。そういう意味でもその交流人口という、単に観光ということでなくて厚みのある、今ある観光の形態プラスワン、こんなものを考えていくということからいうと、この事業は非常に大切な事業だと。今の答弁で10月を目途に、これは私の勝手な命名なのですが、土沢インターチェンジ活用事業将来構想委員会、地元の市民も交えた委員会を立ち上げるということ。先ほどのお話もありましたが、事業そのもの、取り組みそのものは将来的、主体的な取り組みとしてやっていかなければいいものになっていかない。そういう視点からいってもこの委員会の重要性、いいぐあいに推移していってほしいなと。その中で具体的な絵を描き込んでいってほしいなというふうに思います。
また、道路敷の遊休地、これは県の姿勢で自治体が絡んでいけば利用することは可能ですよという方向性が示されているということ。もう具体的にその情報が入って、地元ではあんなことしたい、こんなことしたいという具体的な話が出ているようです。ぜひこの件についても庁内、また市民委員会の中でも検討いただきたいと思います。
質問し、答弁いただきましたが、今お話ししたように、日光市の将来を考えたとき非常に重要な事業だと私自身は考えるのですが、交流人口等の考えも含めて市長のこの事業に関するお考えを伺えたらと思います。お願いします。
P.122
◎斎藤文夫市長 総体的に申し上げますと、何といっても何十年に1度という、半世紀に1度と言ってもよろしいですか、そういったバイパスの開通、そしてインターチェンジのオープンですから、やはりそれによってもたらされるポテンシャルというのは非常に大きいと思います。そして、何といってもそういうチャンスを生かす、これはあと50年多分ないかもしれません。そんな意味においては、指摘のように大変重要な位置を占めますし、だから次期計画の中では具体的にそういったものが入ってくるような、そういう検討をやはり早目にやっていく必要があるのかなと。そういう中に交流人口の増加とか、そういったことも入ってくるし、ただ1つ、これはどうしてもやはりメンバーの中に地元の方が入りますけれども、やはりこの組織だけですとなかなか難しいかなという気はするのです。何といってもやはり関係する地権者の方々のポテンシャルを生かそうとする意欲、やはりこれが非常に重要かなと思っていますから、これをやはり、これ随分話し合い等を繰り返す中で結論を引き出していくことになると思いますけれども、そういう意欲をやはり持っていただけるような、行政としては誘導と言ったらちょっと失礼かもしれませんけれども、動機づけといいますか、それが必要かなと思っています。いずれにしても重要案件ということで今後対応していきたいと思っています。
P.123
◆25番(野沢一敏議員)
今市長のほうから50年に1度というお話がございました。先を見据えた50年ってすごく遠く感じるのですが、振り返った50年というのはきのうのような気がするというような気がします。土沢インターチェンジ周辺地域は、大きな開発効果が見込める非常にポテンシャルの高い地域だと今ご答弁をいただきました。私もそのように考えております。昨今の社会状況を見ますと、我々は日光市の将来についてなかなかバラ色の夢を描きにくい状況にあります。午前中の質問の中でも人口減少はある意味社会状況の中でいたし方ない、恐らく市長が国の政策を全て決める立場にいるのであればまた別でしょうが、やはりこの地域の行政の中で対応する限界はあるのだというふうに私も思います。しかし、日光市全体から人口減少の問題というのは午前中ご答弁あったような内容でいいのだと思うのですが、やはり一つ一つの地域、栗山であったり足尾であったり、いわゆる過疎と言われている地域の皆さんからいきますと、全体の日光市のその流れの中だけで物事を考えていくと非常にどうしようもない将来しかなくなってしまう。ですから、この日光市の中で雇用なりなんなり、ここに人口が張りつくような定住促進策なんていうものもやっていかなければいけないのだろうなと思います。そういう中でこの土沢インターチェンジ活用事業はこの周辺地域にとどまらず、日光市全体から見ても活性化の起爆剤になり得る数少ない事案だと考えております。日光市の新しい観光の姿、観光農園の推進やいろんな形の施策の導入など、新しい農業のあり方を考え、そして人口減少のスピードを少しでも低下させるための雇用の創出と地域経済の活性化、これらの項目が少しでも実現できるように、執行部もさらなる知恵を出していただいて今後の事業展開をされることを期待いたしまして私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。
〔12番 亀井鎭雄議員退席〕
P.96
◆25番(野沢一敏議員)
25番、市民フォーラム志向の野沢でございます。今回の一般質問では「放射性物質問題について」質問をいたします。
一昨年3月11日の東北地方太平洋沖地震による地震動と津波の影響により、東京電力福島第一原子力発電所で発生した炉心溶融など一連の放射性物質の放出を伴った事故、日光市においてもこの原発事故に伴う放射性物質の飛散は、市民の健康や生活環境、農業、観光業及びその関連事業、その他に大きな影響を与えました。その後市長を初めとする執行部の皆さんの懸命な努力により、直後の混乱はおさまりつつあります。しかし、この原発事故に伴う放射性物質は、直接目に見えるものではなく、いまだに市民の多くの皆さんが不安に感じている問題だと思います。
そこで、今回の質問では、クリーンセンター焼却飛灰に関すること並びに除染により発生した汚染土砂に関することの2項目について伺います。最初に、クリーンセンター焼却飛灰の現状について。2つ目、今後の焼却飛灰処理方策について。3つ目、放射性物質汚染対処特別措置法の指定廃棄物最終処分場について。日光市においても焼却飛灰など指定廃棄物の今後の処理方策に大きく影響を与える最終処分場の動向ですが、現状をどのように捉え、どのような見通しを持っているのか伺います。
次に、2項目めとして、除染により発生した汚染土砂の現状について。今後の除染により発生する汚染土砂について。この項目につきましては、午前中福田悦子議員の質問、答弁により多くの部分がわかったところがございますが、その答弁も踏まえた上で伺います。
以上、5点についてご答弁願います。
P.97
◎湯澤光明副市長
25番、野沢一敏議員のご質問であります「放射性物質問題について」、2点のご質問をいただきました。私からは、ご通告をいただきました第2点、除染により発生した汚染土壌等についてお答え申し上げ、ご通告第1点目につきましては産業環境部長から答弁をさせていただきます。
まず、1点目、処理の現状について申し上げます。放射性物質の除染作業により発生した土壌等は、放射性物質汚染対処特別措置法施行令の規定に基づき保管を行っております。また、実際の作業方法等につきましては、環境省が作成した除染関係ガイドラインを参考としています。除染に伴う発生土壌等の保管は、除染した現場などで保管する現場保管と市町村あるいはコミュニティー単位などで保管する仮置き場によるものがあります。このうち当市においては、主として現場保管の方法により対応しています。具体的には、学校、保育園で校庭、園庭の除染を行いましたが、その際削り取った表土は除染を行った学校や保育園の校庭、園庭内の地下に保管いたしております。また、18歳以下の子供がいる世帯の住宅につきましても、除染した土壌等は住宅敷地内の地下もしくは地上に保管させていただくこととしております。なお、保管に当たりましては、除染土壌等の飛散や流出を防ぐこと、地下水の汚染防止、雨水等の侵入防止、遮蔽等による放射線の遮断などの措置を講じることとしています。
次に、2点目、今後発生する除染土壌等の処理について申し上げます。事前の聞き取りでは、特に通学路の除染ということでのご趣旨であると伺っていますので、その面からお答えを申し上げます。この点につきましては、さきに福田悦子議員にお答えしましたとおり、今年度中は着手できない見通しです。これまで除染土壌等の仮置き場の確保に取り組んでまいりましたが、適当な土地が見つからず、保管場所が確保できておりません。今後仮置き場に加え、現場保管の可能性も探りながら通学路の除染に不可欠な保管場所の確保について引き続き努力を重ねてまいります。ご理解をお願いいたします。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
P.97
◎柴田明産業環境部長
ご質問の第1点、クリーンセンター焼却飛灰に関することの1点目、クリーンセンター焼却飛灰の現状について及び2点目、今後の焼却飛灰処理方策につきましては、関連がありますので、あわせてお答えいたします。
クリーンセンターの焼却飛灰につきましては、平成23年7月以降一時保管が続いており、その量はことし1月末現在で約1,410トンとなっております。保管場所は、指定廃棄物の基準となる8,000ベクレルを超えた飛灰約550トンをクリーンセンター敷地内に建設した保管施設に保管し、8,000ベクレル以下の飛灰約860トンは、クリーンセンター及び平ケ崎ストックヤードに分散して保管しております。一方、放射性物質濃度は、平成23年7月の測定値が1万6,000ベクレルを超えておりましたが、昨年8月には8,000ベクレルまで半減いたしました。また、直近の3カ月の測定では、昨年12月が4,400ベクレル、ことし1月が2,480ベクレルとなり、初めて最終処分先の受け入れ基準値の4,000ベクレルを下回った値となりました。さらに、2月が1,880ベクレルとなり、2カ月連続で受け入れ基準値を下回ったことから、搬出に向けまして受け入れ自治体に直ちに協議の申し入れを行ったところであります。また、今後の放射性物質濃度の動向につきましては、冬場は放射性物質濃度の上昇の原因と思われる枝葉等の搬入が少ないため放射性物質濃度の値が下がり、春先から枝葉等の搬入の増加とともに放射性物質濃度が上昇する傾向にあります。昨年の4月から8月までの5カ月間の測定値は8,000ベクレル前後で推移しており、これまでの減衰の状況から推察しますと継続して4,000ベクレルを下回ることは極めて不透明な状況であります。したがいまして、今後の一時保管に対応するため、平ケ崎ストックヤード内に今年度中に飛灰保管施設1棟を建設し、さらに来年度1棟の建設を計画しております。この2棟の保管容量は850トンで、保管可能時期は平成26年3月までと見込んでおります。
次に、3点目、指定廃棄物最終処分場についてでありますが、国は指定廃棄物の処理に当たりまして、放射性物質汚染対処特措法に基づき、平成24年3月30日に指定廃棄物の今後の処理方針を公表しました。この方針に示された指定廃棄物の最終処分場の確保による工程表では、昨年9月を目途に場所の選定を行い、平成25年度に造成工事に着手し、早ければ平成26年7月から指定廃棄物の搬入を開始することとなっていました。この工程表に従い、国は平成24年9月3日に栃木県における指定廃棄物最終処分場の候補地として矢板市塩田地区を提示したところであります。その後国による地元への説明ができない状況が続いておりましたが、昨年12月の政権交代を受け、国は前政権下での取り組みを検証し、これまでの選定プロセスを見直すこととなり、2月27日に県を通じて取り組みの検証結果及び今後の方針等が提示されたところであります。取り組みの検証結果の概要につきましては、選定作業の実施や選定結果の共有に当たり、市町村との意思疎通が不足するとともに、候補地の提示に当たっての詳細な調査、専門的な評価が不足し、さらに各県の状況を踏まえた対応が不十分であったとしております。また、今後の方針につきましては3つの方針が示されており、1つ目が市町村長会議の開催を通じた共通理解の醸成、2つ目が専門家による評価の実施、3つ目が候補地の安全性に関する詳細調査の実施となっております。今後は、この方針を踏まえ、県の協力を得て市町村長会議を開催するとともに、速やかに専門家会議を立ち上げて安全性の確保に関する考え方等の議論を開始し、県や市町村との意見交換等を重視して、手順を踏んで着実に前進できるよう全力で取り組むとしております。このように指定廃棄物最終処分場候補地の選定に関しましては大きな動きがありましたが、国が責任を持って設置することに変わりはありませんので、現時点でこの件に関し見解を述べることは差し控えさせていただきます。ご理解をお願いいたします。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
P.99
◆25番(野沢一敏議員)
答弁いただきました。ことしの3月11日を迎えますと大震災から丸2年ということで、マスコミ等でも連日のように3.11東日本大震災以降の復興の様子を報道しております。東北の被災地、地震や津波による被災地では、被害の現実を受け入れて、復興に向けて力強い歩みが見られ始めました。しかし、原発事故による被災地、特に福島県の原発周辺地域ではまるで時間がとまったような状況にあります。それは、害を発した原発が完全に事故収束に至っていないこと、そして原発から飛散した放射性物質は、懸命な除染作業にもかかわらずその大部分が飛散降下した場所にとどまっているということによるものだと思います。日光市においてもこの放射性物質とのかかわり、今答弁でもお話しいただきましたが、今後5年、10年、もしかすると30年と続いていくものと考えます。長期戦になることが予想されます。
答弁によりますと、質問順番入れかわりますが、クリーンセンター飛灰に関することにつきましては、飛灰の放射性物質含有量がここのところ急激に低下していると。ことしに入ってから2,480ベクレル、2月末には1,880ベクレルという非常にある意味安心を想起させるような数値が出ている。まだ4,000ベクレル、昨年の12月の測定のデータしか手元にございませんでしたので、4,000ベクレル切っていなかったのだなというふうに思っていたのですが、今の答弁、これは市民の皆さんにも安心の材料になるのかなと思います。しかし、先ほど答弁にもございましたが、この焼却飛灰の放射性物質濃度を高く維持している原因というふうに考えられる植物の枝葉の搬入、これはこれからふえてくるということになってくるのだと思います。また、指定廃棄物の量ということからいきますと、指定廃棄物となる8,000ベクレルを超えるものが550トン、指定廃棄物とはなりませんが、8,000ベクレル以下のものが860トンという今お答えがありました。もともと国が責任を持って最終処分場をつくるということの前提のもとに今仮置きしているのだと思いますが、矢板市塩田地区の動向を見ても、地元受け入れ交渉がまとまったとしても、今後3年から5年程度は要するもの、当初の来年の7月から搬入ができるという状況には全くない状況にあるのだと思います。
2つ目の副市長からご答弁いただいた件、やはり敷地内保管ができる部分については順調に除染が進んだけれども、通学路等に関しては現場保管というものができないということで、なかなか難しい、難航しているということを伺いました。そのご答弁を踏まえまして2回目の質問をしたいと思います。焼却飛灰に含まれる放射性物質量の値は、最初のおととしの7月と比較すると大幅に低下しているということです。その要因としての枝葉の搬入、県北の大田原市とか那須町ではこの搬入を受け入れていないという、焼却灰とか焼却飛灰の関係から受け入れていないというふうに聞いていますが、日光市において今後昨年同様枝葉の搬入を受け入れるのかどうか、改めてご答弁をいただきたいと思います。
また、震災直後に発生した1万6,000ベクレルとかいう焼却飛灰の放射性物質含有量の経時変化、先ほどお話いただいたのはたしか新たに出てくる飛灰の測定値だと思うのですが、最近の新聞報道によりますとセシウム134ですか、3年で半減期を迎えるというような、2年か、で半減期を迎える、その原因なのか、非常に放射性物質量が予想以上に低下しているという話があったのです。それで、経時的な含有量の変化、もしかするとはかっていないのかもしれませんが、はかっていないとすれば今後どういう扱いをしていくのか伺います。
3点目として、現状において最終処分場が予定どおり来年7月搬入可能になる状況での計画実施というのはできていない現状にあるのだと思うのです。このことを踏まえまして、特に指定廃棄物となる8,000ベクレルを超える飛灰や、もしかすると土砂もあるのかもしれませんが、中長期的な視点に立った管理計画、特に平ケ崎のストックヤードには周辺住民の安心を担保するために、これは発生源、現地保管の状況とはまた1つ変わっていると思うので、安心を担保するためのモニタリングポスト常時測定、常時掲示というものが必要と考えますが、これについて執行部のお考えを伺います。
第2の項目の1、2点目についてでございますが、現在敷地内保管をしている小中学校、幼稚園、保育園等の園庭の除染に伴って発生した土砂について、これ環境省のガイドラインですと当初計画では3年程度仮置きしてもらって、その後本処分をしますという計画のもとに地下に埋めているということなのだと思いますが、これの本処分、最終処分は行える見通しがあるのかどうかということについて伺います。
次に、通学路の除染土砂についてですが、先ほどご答弁いただいたように仮置きする場所を確保するのに非常に苦慮しているということです。仮置きというものが難しい状況下において、やはり保管、管理がきちんとできた中間保管施設、こういうものをちょっと長い期間をかけまして検討していく、そういう必要性もあるのだと思うのです。やはり附帯した公共施設とか、先ほど福田議員の答弁にあったそういう方向性を今探っているのだと、国に対してもそれが可能なのかどうか確認しているということなのですが、やはりその域を超えて、そうそう早急に最終処分場というものが見えてこないということであれば、市独自のと言ってはなんですが、中間保管施設というものをそろそろ念頭に置いて検討を始める。これは、一朝一夕にはできないということは十分に承知しているという前提において、その形の検討を始めるべきだろうと考えます。それについてのお考えを伺います。
計6点になりますが、ご答弁をお願いします。
P.100
◎柴田明産業環境部長
2回目のご質問にお答えいたします。
まず、第1点、枝葉等の収集への対応でございます。枝葉等を受け入れ処理することは、市域の除染につながります。そのような観点から、現在も収集体制を継続しているところでございます。しかしながら、枝葉等の受け入れを行っていない、先ほどもご指摘がありました県北も含めた各市の状況を見てまいりますと、いずれも4,000ベクレルを下回っておりまして、一定の効果があるというふうに捉えております。今後につきましては、春先から放射性物質濃度が上昇する傾向にありますから、4月及び5月の測定結果を踏まえまして、民間の最終処分場への搬出可能量、市における保管許容量を見きわめた上で、枝葉等の受け入れについて慎重に判断してまいりたいと考えております。
次に、ご質問の第2点、飛灰の経時変化、それから再測定についてお答えをいたします。現在市が保管しております飛灰の一部につきまして再測定を行っております。その数値を申し上げますと、例えば当初5,630ベクレルであったものが4,700ベクレルまで低下をいたしております。その減衰率は、8カ月経過いたしたということで、8カ月経過した時点で約17%の減衰率となっております。今後につきましては、3月末に再度再測定を予定しております。その後も引き続き継続して再測定を実施してまいりたいというふうに考えております。
次に、ご質問の第3点、中長期的視点に立った管理計画についてお答えいたします。今後の飛灰の保管、処分に当たりましては、基本的には3つの対応があるというふうに考えております。1つは、安全性を確保して周辺に影響を及ぼさないようにするということであります。そのため一時保管に当たりましては、放射線の遮蔽措置などによりまして安全性を確保し、放射線量の測定によりまして周辺への影響がないことを確認していくことであります。こういった対策をこれからも続けていくということであります。特に安全対策について申し上げますと、コンクリート製L型擁壁の設置、あるいは現地盤からのコンクリートによるかさ上げ、こういった措置を行っております。これは、国が仮置き場を設置する際に必要ではない措置でございます。市が安全性を考慮しまして独自に行っている措置でございます。したがいまして、市の一時保管施設は仮置き場以上の安全対策を講じたものでありますので、当分適切に保管ができる、そのように考えております。
2つ目は、飛灰の処理に当たりまして、受け入れ自治体である草津町との事前協議をスムーズに進めまして、最終処分の道筋をつけていくということでございます。
それから、3つ目といたしましては、今後の飛灰の保管処理における方針を見出していくというものでございます。この点につきましては、ことしの4月、5月の測定結果、民間最終処分場への搬出可能量、市における保管許容量を見きわめた上でその方向性を出していきたいというふうに考えております。
次に、4点目でございます。モニタリングポストの設置でございます。先ほども申し上げましたように一時保管に当たりましては、放射線の遮蔽措置によって安全を確保しております。また、放射線量の測定によりまして周辺への影響がないことを確認をいたしております。特に放射線量の監視、測定に当たりましては毎週行っておりまして、クリーンセンター内で4カ所、平ケ崎ストックヤード内で2カ所、その周辺地域で5カ所、合計11カ所で測定を実施しております。放射線量の数値を比較いたしますと、クリーンセンター内が0.13マイクロシーベルト、これは平均でございます。その周辺が0.14から0.16マイクロシーベルト、参考までに県が行っています瀬川のモニタリングポストでありますが、これが0.11マイクロシーベルトでございます。いずれも3月5日現在の数値でございます。こういったことから、特に異常は見当たりませんし、周辺に影響は出ていない、そのように考えております。したがいまして、現在の監視体制を継続することが重要であると考えておりますので、モニタリングポスト設置の必要性は低いのではないかというふうに捉えております。ご了承をお願いいたします。
以上をもちまして答弁とさせていただきます。
P.101
◎湯澤光明副市長
2回目のご質問の小中学校、保育園、幼稚園における除染土壌の本処分の見通しについてお答えをしたいと存じます。
先ほどの産業環境部長の答弁にもありましたが、2月の25日に環境省は指定廃棄物の最終処分場の候補地の選定の手順を見直すことになりました。8,000ベクレルを下回る特定廃棄物については、これは市町村が最終処分まで持っていかなければなりませんが、特定廃棄物であれ指定廃棄物であれ、その最終処分場については市民の、住民の方の考え方は一蓮託生であるのだと思うのです。今8,000ベクレルを超える指定廃棄物の最終処分が言ってみれば手順が緒についた状況であります。市町村が最終処分するその最終処分場については、全く現時点では見通しが立たないというのが正直なところでございます。
それと、6点目の中間貯蔵施設の検討が必要ではというお話をいただきました。中間貯蔵施設は、おおむね30年間そこに貯蔵する施設であり、仮置き場は、議員の先ほどご発言の中にありましたように、短期間であるということでございます。ただ、いずれにしても仮置き場であれ中間貯蔵施設であれ、市民の方の受けとめ方は、それは全く異なるものではなくて、むしろ名称が変わっただけのものではないかというふうな受けとめ方をするのではないかと思います。そんな中で、中間貯蔵施設についてはまだ検討をする段階にはないと、そのように考えてございます。ご了承をお願いしたいと存じます。
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◆25番(野沢一敏議員)
ご答弁いただきました。焼却場への枝葉の搬入受け入れ、原則的には市域の除染に貢献するものだから、昨年やってきたと。恐らくこれそこから出てきた飛灰が2,000ベクレルを下回ってきたという測定結果が出たということで、草津の処理場のほうに運ぶ方向性も見えてきたということだからだと思うのですが、4月、5月の搬入、また飛灰の含有量の変化を見ながら検討していくということのご答弁だったと思うのです。やはり答弁の最初にあったように、市域の除染、枝葉、植物、例えば森林であれば下の落ち葉やそういうものを集めることによって除染が進むなんていうものとある意味似た形のものだと思いますが、これについてはやはり指定廃棄物等のストックの許容量といいますか、そういうものとの関連はございますが、原則としては枝葉の搬入受け入れ、続けていただきたいと思います。これは、4月、5月の状況を見てということですから、また別の機会を見つけてお話をさせていただきたいと思います。
また、飛灰の再測定、5,630ベクレルが4,700ベクレル、8カ月間で低下していると。17%の減だということですが、恐らくその再測定の後かなり時間がたっていると思いますので、まだ低下しているのだと思うのです。放射性物質の大半を占めるセシウム134と137ございます。これは、降下物の分析によっておおむね1対1だと。出てくる放射線量等については、2.7対1だということです。減衰率が2年と30年。ですから、3年たつとトータルのセシウム量が半分近くまで減っていくという傾向があるようです。これは、下野新聞にも記載されていましたが、やはりそういうこともございますから、逐次放射性物質、飛灰の経年変化、経時変化というものも続けてお願いしたいと思います。
飛灰に関する中長期的な視点に立った管理計画、ご答弁にありました。コンクリートの擁壁等をやって、通常のガイドラインに示される仮置き場より十分な管理をしている。恐らく周辺の放射線量、先ほども値をお答えいただきましたが、ある意味完全に安全な仮置き場の状況にあるのだと思うのです。このことについて、やはり市民の皆さんに強く広く周知していく必要があるのだと思うのです。きちんとした仮置きであれば全く問題がないのですよ、皆さんの不安、これを解消するべく措置ができているのですよということをもっと示していく必要があるだろうと。それによって、例えば通学路の除染土砂の仮置き場なんていうのも方向性が見えてくる。ただ、副市長ご答弁いただいたように、仮置き場、中間貯蔵施設、市民にとってはそんな差がない、感覚的には。まだまだ難しい状況にあるのだということですが、こういう内容のことを根気よく説明することによってしかその先のものって見えてこないのだと思うのです。国が責任を持って最終処分場をつくる。やはり矢板市のあの状況見ますと、なかなか難しい状況にあるのだと思うのです。それが5年後、10年後となってきたときに、日光市にとって国がつくらないから、どこにも持っていけないのだよというような話は通らなくなる時期が来るのだと思うのです。やはり日光市は、市として平ケ崎のストックヤードで行っているような、ある意味市が責任持って管理するということを明確に示していく必要性があると思います。この一連のことに関して、斎藤市長のほうからこの1年数カ月、もうじき2年という中での放射性物質の問題、除染についてのお考え、今後の見通し等、総括的にお伺いしたいと思います。
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◎斎藤文夫市長
放射性物質対策、除染を含めてということでありますけれども、議員ご指摘のようにやはり国の最終処分場は今いつできるという、そういう見通しはちょっと無理だと思います。これから市町村長会議等で説明をする。全市町村、知事、また部長、課長、県の、これが全部歩いて、今回の件については説明を、私のところには、地元でありますけれども、課長が見えてその説明を受けました。これから仕切り直しということになっていきますので、当分最終処分場はできないだろうなと。やはりこれは市の責任で市民の安全を守っていくということになると思います。その中で、国の基準以上のものを常に思考して市としては対策を講じております。ただ、残念ながらその保管場所であるとか、そういった絡みではなかなか解決できない部分もありますけれども、やはり除染計画にのっとって、市民の安全をまず第一に考えて、これから関係する全ての対策を講じていきたいと思っております。そういう中から、多分数値もかなり下がってくると思いますし、いい結果もある分野では出てくると思いますので、そういったものも市民とともに、今皆さんに周知をしながら対策をさらにまた講じていきたいと思っております。そんなところでご理解いただきたいと思います。
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◆25番(野沢一敏議員)
今市長からお話しいただきました。やはり当初の特措法、施行規則等を見て、国はこういう形で対処をしていくのだよといったものがなかなか現実になっていない。そういう状況の中で、ある意味県、もっと極端に言えば市町村というのは、もう住民の皆さんと対面でやっていかなければいけない行政体なのだと思うのです。ですから、ある意味逃げられないと言ってはおかしいですが、もう着実に歩を歩めていかなければならない立場なのだと思います。
先ほどの答弁で部長から、もう安全が確保されているから、管理体制、モニタリングポストの話ですが、必要ないという、必要性は低いというお話でした。しかし、今だからこそ安全、安心なのだということを繰り返し、繰り返し市民の人に伝えていく、この作業が必要。また、ほかに仮置き場をつくるときに常時測定、常時掲示をする、こういうものをつけますよ、皆さん見ていてください、安全なのですからという、そういう説得材料にもなるのだと思います。ですから、福島に行きますとそこらじゅうにモニタリングポストありますから、そう大きなお金はかからないものなのだと、調べていないのですが、しかしそうかからないのだと思います。ぜひこれに関してはご検討をいただきたいと思います。
放射性物質は、本当冒頭にも申しましたが、目に見えないだけに国が示す安全基準と市民の皆さんが抱く安心とにはギャップがある。これをどう埋めていくか。今の質問、答弁も全てそこのギャップにあるのだと思うのです。これまで小中学校等の除染作業においても、その不安に対する配慮というものは日光市非常に配慮した形の計画を立て、実施してきたと思います。このことについては、本当評価するところではございますが、やはり2年たって今これからの先を見据える中でこのような問題がいい形で解決する施策の実施を期待いたしまして、私の一般質問を終わりたいと思います。
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